ごきげんよう
JAL花巻便より 厳しい冬山
東京講習会の帰路、新幹線の車窓に流れる冬の景色を眺めながら、心に浮かぶ思いを綴っております。
冬のオリンピックの競技を見ておりますと、そこには単なる技術や体力の勝負を超えた、自然との対話があります。気温、風、雪質、一雫の水滴までも、そしてその日の体調――刻々と変わる条件の中で、自らを整え、最高の一瞬にすべてを懸ける。まさに計り知れない結果の中で、メダルが与えられる世界です。
さらに心を打たれますのは、大きな失敗の後です。数日のうちに、あるいは翌日には、次の競技が待っています。精神的に極限の状態にありながら、再びスタートラインに立つ、その姿は、私の目には、子や孫の世代の若者たちが、自分自身と闘いながら立ち上がっていく尊い姿として映ります。想像するだけで、胸に電気が走るような衝撃を覚えます。
この姿は、学習塾の子どもたちにも重なります。思うような結果が出ず、心が打ちのめされたまま、数日のうちに次の試験や挑戦に向き合わなければならない。涙をこらえ、あるいは流しながらも、新たな峠を越えようとする姿に、私は何度も立ち会ってきました。そんな時、私自身もまた、極限の空気の中に身を置いているような感覚になります。瞳を動かさず、唇に力を入れ、遠くを見つめる。身体に力が入り、硬くなっていると感じながらも、ただ静かに、彼らの先にある近未来を思い描きます。
ふと、心に浮かぶ言葉があります。松下幸之助氏の
「こけたら たちなはれ」。そうだよね、そうだよね。心の内にいるもう一人の自分に、そっと確認します。そうなんだよね、と。
たった九文字。けれど、この言葉にどれほど多くの人が救われてきたことでしょう。失敗は終わりではなく、立ち上がるための一瞬に過ぎない――その優しくも力強い励ましが、心の奥の灯となります。
今日もまた、それぞれの場所で、転び、悔しさを抱えながらも立ち上がろうとしている人がいる事でしょう。その姿を信じ、見守り、そして私自身もまた、何度でも立ち上がっていこうと思います。
九文字の言葉『こけたらたちなはれ』を胸に。2026.2.17 by tayu