ごきげんよう
フジバカマ=秋の七草=
昨日、可憐な「フジバカマ」の花を頂きました。淡い藤色の花穂がふわりとして素朴すぎるほど素朴な姿は、どこか懐かしく生まれ育った広島県北の田舎を思い出します。人工造作の感じられない花姿からは秋の訪れをそっと告げているようにも感じます。古くは万葉の時代から人々に愛され、秋の七草(萩、桔梗、葛、藤袴、女郎花、撫子、芒)のひとつとして詩や和歌にも詠まれてきましたが、今では、環境省のレッドリストに「準絶滅危惧種」として名を連ねるほど、野に咲く姿は少なくなりました。また、今年の激暑の暑さから枯れてもいる様です。色々な環境ストレス、つまり、私たちの暮らしの変化の中で、静かに姿を消しつつあるのです。
おそらく奈良時代以前に薬草として渡来したと推測され、香りには邪気を払う力があると伝えられてきました。乾かすとほんのり甘い香りを放ち、その香気は昔の人々にとって安らぎでもあり、祈りでもあったのでしょう。けれど同時に、この植物にはわずかながら毒性も含まれています。人に癒しをもたらすものが、使い方を誤れば害にもなる――自然はいつも、その両面をもって私たちに「バランス」の大切さを教えてくれます。
そしてもう一つ、この花にまつわる不思議な物語があります。フジバカマの蜜を求めて旅をする蝶、「アサギマダラ」のことです。これらは何千キロも海を越え、南の島まで渡るといわれています。その途中、アサギマダラは、フジバカマを中継所として、フジバカマに含まれる成分を体に取り込み、その匂いをまとうことで大きな鳥などの天敵(取り入れる事で自身に毒性を持つ毒蝶になります)から身を守るのだとか、また、蜜からは栄養源としてだけでなく繁殖の為のエネル源等等、両者は自己防衛と繁殖の為に不可欠で密接な関係を保っている様です。自然界では、命が命を守り、支え合うしくみが、見えないところで確かに息づいている事を思います。
花ひとつにも、生きる為の知恵と自然の摂理と循環、そして生きとし生けるものの祈りが宿っている、人の手で守ることも、人の手で守られる事も、自然に学ぶことも、きっと同じ根から芽吹いているはずです。
もっともっと『溶け合い 融け愛』の精心を持てる様になれ〜
と教えを受けている様にも感じました。 2025.10.27 by tayu