つぶやき by Tayu

つぶやき

ごきげんよう

五島列島鬼岳  2024/8/15

昨日の続きです。

大石清伍長からこの手紙を預かった大野沢氏は、大石清伍長の遺書に自らの手紙を添えて静ちゃんに届けました。


大石静ちゃん、突然、見知らぬ者からの手紙でおどろかれたことと思います。大石清伍長の飛行機がかりの兵隊です。伍長どのは今日、みごとに出げきされました。そのとき、このお手紙をわたしにあづけて行かれました。おとどけいたします。伍長どのは、静恵ちゃんのつくった人形を大へん大事にしておられました。いつも、その小さな人形を飛行服の背中に吊っておられました。ほかの飛行兵の人は、みんな腰や落下傘の縛帯の胸にぶらさげているのです。伍長どのは、突入する時に人形が怖がると可哀そうと言って、おんぶでもするように背中に吊っておられました。飛行機に乗るため、走って行かれる時など、その人形がゆらゆらとすがりつくようにゆれて、うしろからでも一目で、あれが伍長どのとすぐわかりました。伍長どのは、いつも静恵ちゃんといっしょに居るつもりだったのでしょう。同行二人。仏さまのことばで、そう、言います。苦しいときも、さびしいときも、ひとりぼっちではない。いつも仏さまがそばにいてはげましてくださる。伍長どのの仏さまは、きっと静恵ちゃんだったのでしょう。けれど今日からは伍長どのが静恵ちゃんの〝仏さま〟になっていつも見ていてくださると信じます。伍長どのは勇かんに敵の空母に体当たりされました。静恵ちゃんも、りっぱな兄さんに負けないよう、元気を出して勉強してください。  さようなら。

            =2024/8/15 79回目の終戦記念日に寄せて=